こんにちは、名古屋市瑞穂区の桜山駅から徒歩6分にあります、いわむら歯科院長の岩村です。
「子どもの歯が生えてきた周りの歯ぐきが赤く腫れている」
「歯磨きをすると出血する」
「痛がって歯ブラシを嫌がる」
このような症状で来院されるお子さんは多く、その原因としてよくみられるのが
**萌出性歯肉炎(ほうしゅつせいしにくえん)**です。
萌出性歯肉炎は、乳歯や永久歯が生えてくる時期に起こりやすい歯肉炎で、成長過程でよくみられる一方、適切なケアを行わないと悪化する可能性があります。
本記事では歯科医院の立場から、
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萌出性歯肉炎の定義
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起こる時期と特徴
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原因とメカニズム
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症状の見分け方
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歯肉炎・歯周病との違い
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歯科医院での対応・治療
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ご家庭でできる予防とケア
について詳しく解説します。
萌出性歯肉炎とは?
萌出性歯肉炎とは、
乳歯や永久歯が萌出(歯ぐきから生えてくる)する過程で、歯の周囲の歯肉に炎症が起こる状態を指します。
主に、
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乳歯列期
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混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)
の小児に多くみられるのが特徴です。
歯が完全に生えきるまでの間は、歯と歯肉の境目が不安定で汚れが溜まりやすく、炎症が起こりやすい状態になります。
萌出性歯肉炎が起こりやすい時期
乳歯の萌出時期
生後6か月頃から始まる乳歯の萌出期では、歯肉がむずがゆくなり、歯ブラシが当たりにくくなるため、炎症が起こりやすくなります。
永久歯の萌出時期
特に多いのが、
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6歳臼歯(第一大臼歯)
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前歯の永久歯
が生えてくる時期です。
6歳臼歯は乳歯の奥から生えてくるため、保護者の方が気づきにくく、磨き残しが多くなりがちです。
萌出性歯肉炎の主な原因
プラーク(歯垢)の停滞
萌出途中の歯は、
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歯の高さが低い
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歯肉がかぶっている
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歯ブラシが届きにくい
といった理由から、プラークが溜まりやすくなります。
このプラーク中の細菌が歯肉に炎症を引き起こします。
歯磨き不足・磨き残し
お子さん自身の歯磨きだけでは、萌出途中の歯まで十分に磨けないことが多く、仕上げ磨き不足も大きな要因となります。
歯肉の構造的特徴
小児の歯肉は、
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血流が豊富
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炎症反応が出やすい
という特徴があり、軽度の刺激でも赤く腫れやすい傾向があります。
萌出性歯肉炎の主な症状
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歯肉が赤く腫れる
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歯磨き時の出血
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歯肉の違和感・痛み
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口臭が気になる
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歯磨きを嫌がる
多くの場合、全身症状はなく、局所的な炎症にとどまります。
萌出性歯肉炎と歯周病の違い
保護者の方から
「歯周病ではないか心配」
という質問をよく受けますが、萌出性歯肉炎と歯周病は別のものです。
| 項目 | 萌出性歯肉炎 | 歯周病 |
|---|---|---|
| 年齢 | 小児 | 主に成人 |
| 骨吸収 | なし | あり |
| 可逆性 | あり | 進行性 |
| 主な原因 | 歯の萌出・清掃不良 | 細菌感染 |
萌出性歯肉炎は、適切なケアで改善する可逆的な炎症です。
歯科医院で行う診査・診断
歯科医院では以下の点を確認します。
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歯の萌出状態
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歯肉の腫脹・発赤
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プラークの付着状況
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歯列や噛み合わせ
必要に応じて、歯磨き指導(TBI)やクリーニングを行います。
萌出性歯肉炎の治療方法
プラークコントロールの改善
最も重要なのは、正しい歯磨き習慣の確立です。
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萌出途中の歯に合わせた歯ブラシの当て方
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仕上げ磨きのポイント
を歯科医院で丁寧に指導します。
歯科医院でのクリーニング
歯肉の炎症が強い場合、歯科衛生士による専門的クリーニングを行います。
経過観察
歯が完全に萌出すれば、炎症は自然に改善することが多いため、定期的なチェックを行います。
開窓術
開窓術(かいそうじゅつ)とは、歯の萌出を妨げている歯肉を一部切除し、歯が正常に生えてくるための通り道を作る処置です。
開窓術は、以下のようなケースで検討されます。
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歯肉が歯を覆い、歯がなかなか萌出しない
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歯肉の腫れや炎症を繰り返している
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プラークコントロールが困難な状態
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痛みや不快症状が続いている
単なる一時的な炎症の場合は経過観察となりますが、自然な萌出が妨げられている場合には有効な処置です。
開窓術は、
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局所麻酔下で行う
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処置時間は短時間
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出血や痛みは比較的少ない
という特徴があります。多くの場合、処置後は歯磨きがしやすくなり、炎症の改善が期待できます。
歯が完全に萌出すれば、炎症は自然に改善することが多いため、定期的なチェックを行います。
ご家庭でできる予防とケア
仕上げ磨きを続ける
小学校中学年頃までは、保護者による仕上げ磨きが重要です。
歯ブラシの選択
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ヘッドが小さい
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毛先が柔らかい
ものを選びましょう。
痛みがある場合の工夫
無理に強く磨かず、優しく小刻みに磨くことが大切です。
萌出性歯肉炎を放置するとどうなる?
多くは自然に改善しますが、
清掃不良が続くと、
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慢性的な歯肉炎
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虫歯のリスク増加
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永久歯列への影響
につながる可能性があります。
歯科医院を受診する目安
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腫れや出血が長期間続く
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強い痛みがある
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膿が出る
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口臭が強い
このような場合は、早めに歯科医院へご相談ください。
まとめ|萌出性歯肉炎は「成長期特有の歯肉炎」です
萌出性歯肉炎は、歯が生えてくる成長過程でよくみられる歯肉炎ですが、正しいケアと歯科医院での管理により確実に改善が期待できます。
当院では、
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小児歯科の診療
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保護者向けの歯磨き指導
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成長に合わせた定期管理
を行っています。
お子さんの歯ぐきの腫れや出血が気になる場合は、お気軽にご相談ください。