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柿のすごい口臭対策パワー|いわむら歯科|瑞穂区中山町の歯医者

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柿のすごい口臭対策パワー

こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分、いわむら歯科院長の岩村です。

もうそろそろ、秋が近づいてきておりますが、様々な食物の旬の時期でもあります。
私の父は岐阜県出身で、柿が大好物なのですが、今回は柿のとある成分が口臭にいい影響を与える事がありますというお話です。

その成分は「柿タンニン」という成分です。渋柿をかじった際の猛烈な渋味の正体が柿タンニンです。日本では古来から渋柿の未熟な果実を粉砕・圧搾し、それを発酵・熟成させて得られる抽出液である柿渋は、木材保護や染料、防腐剤など、幅広い用途に用いられてきました。タンニンといえば緑茶やワインにも多く含まれていることで有名ですが、柿渋に含まれるタンニンはワインの20倍・緑茶の70倍と言われています。

柿タンニンには以下の効果が期待できます。

①消臭効果
柿タンニンはポリフェノールの一種で、フェノール性水酸基を多数持ち、高い反応性を持っています。これにより、ニオイの原因となる揮発性の有機化合物(VOC)と化学反応を起こし、無臭または低臭の物質に変化させることができます。

◉ 対象となる主な悪臭成分と反応例:

悪臭成分 臭いの種類 カキタンニンとの反応
アンモニア(NH₃) 尿臭・汗臭 酸性官能基との酸塩形成で中和
イソ吉草酸 足臭・体臭 フェノール基が水素結合 → 揮発抑制
メチルメルカプタン 口臭(硫黄臭) 硫黄との結合で無臭化
トリメチルアミン 加齢臭 芳香族環との電子的な相互作用

このように、カキタンニンは官能基(-NH₂, -SH, -COOH など)との反応や水素結合・錯体形成により、ニオイ物質を不揮発性または低揮発性の形にして、ニオイを感じなくさせます。
また、柿タンニンにはタンパク質を変性させる強い収れん作用(アストリンゼント作用)があるので、悪臭自体も発生しにくくなります。


②抗菌作用
柿タンニン(カキタンニン)の抗菌作用は、その化学的特性による微生物の活動抑制や殺菌効果に由来します。これは、天然のポリフェノールとしての働きであり、昔から民間療法や防腐用途でも利用されてきました。

1. タンパク質変性作用

柿タンニンには強い収れん作用(アストリンゼント作用)があり、細菌の細胞膜や細胞内のタンパク質と結合して変性・凝固させます。これにより、

  • 細菌の細胞構造が破壊される

  • 酵素活性が阻害される

  • 栄養吸収が妨げられる

→ 結果的に細菌は増殖できなくなる、または死滅します。


2. フェノール性化合物による酸化ストレス誘導

柿タンニンは多価フェノールを豊富に含んでおり、細胞内に取り込まれると活性酸素(ROS)を誘導し、細胞に酸化ストレスを与えることがあります。これにより:

  • 細菌のDNAが損傷

  • 細胞内構造が酸化・破壊

  • 自己修復能力が低下

これも、細菌の死滅や増殖阻害につながります。


3. 細胞膜への作用

柿タンニンは親水性と疎水性の両方の性質を持っており、細菌の脂質二重層(細胞膜)に作用しやすいです。これにより:

  • 細胞膜の透過性が変化し、内容物が漏出

  • 細胞膜構造が不安定化し、機能停止

→ 細菌の生命活動を停止させます。

🔬 対象となる代表的な菌種と作用例

菌の種類 名前 柿タンニンの効果
グラム陽性菌 Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌) 皮膚炎・体臭原因菌。増殖を抑制
  Corynebacterium属(コリネ菌) ワキガ・体臭の主因。殺菌効果あり
グラム陰性菌 Escherichia coli(大腸菌) 食中毒の原因菌。抑制効果が確認済
  Porphyromonas gingivalis 口臭や歯周病の原因菌。抗菌性あり
真菌類 Candida albicans(カンジダ) 皮膚・粘膜感染。抗真菌性も一部確認


③抗ウイルス作用

柿タンニン(カキタンニン)の抗ウイルス作用については、近年の研究により科学的に注目されており、特に天然由来の安全な抗ウイルス成分としての可能性が高く評価されています。以下では、その作用メカニズム・対象ウイルス・研究例・応用例などを詳しく解説します。

🧬 柿タンニンの抗ウイルス作用の仕組み

ウイルスに対するカキタンニンの作用は、主に以下の3つのメカニズムによると考えられています:

1. ウイルス表面タンパク質の変性・凝集

  • カキタンニンは、ウイルス粒子の表面にあるスパイクタンパク質やエンベロープタンパク質結合し、構造を変性・凝集させます。

  • これにより、ウイルスが宿主細胞の受容体に結合できなくなるため、感染がブロックされます。

💡 例:新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
→ スパイクタンパク質(Sタンパク質)を変性・凝集させ、ACE2受容体との結合を阻害

2. ウイルス粒子そのものの不活化

  • カキタンニンは強い酸化還元活性と収れん作用を持ち、ウイルスの外殻(エンベロープ)やカプシドに直接作用します。

  • ウイルス粒子の構造を破壊または変性させることで、感染力そのものを失わせます。

🔬 特に、エンベロープウイルス(インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルスなど)に対する作用が強く、非エンベロープウイルス(ノロウイルスなど)に対してもある程度の効果が報告されています。

3. 宿主細胞のウイルス吸着阻害

  • 一部研究では、柿タンニンが宿主細胞表面の糖鎖構造や膜タンパク質にも結合し、ウイルスの吸着そのものを妨げる効果が示唆されています。

→ つまり、ウイルスが「入り口を探してもドアが塞がっている」状態になる

⚗️ 効果が期待できるウイルスの種類

ウイルス種 エンベロープの有無 カキタンニンの作用
SARS-CoV-2(新型コロナ) あり 不活化・感染阻害(高い効果)
インフルエンザウイルス あり 不活化・感染阻害
ヘルペスウイルス あり 不活化
ノロウイルス なし 部分的に感染抑制(凝集による)
ネコカリシウイルス(代替モデル) なし 効果あり(不完全ながら)



🧴 柿タンニン配合の口臭対策製品

製品タイプ 主な効果
マウスウォッシュ 口臭除去・歯周病予防
タブレット・飴 舌苔抑制、唾液分泌促進
歯磨き粉 殺菌・タンパク質汚れ除去
舌クリーナー用ジェル タンパク質吸着補助、におい除去

✅ 柿タンニンが選ばれる理由(他の成分との比較)

成分 消臭力 抗菌力 持続性 安全性
柿タンニン ◎(天然)
塩化セチルピリジニウム(CPC) △(化学合成)
クロルヘキシジン ×(長期使用不可)
重曹・炭


「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。柿が赤くなる秋は天候がよいので、体調を崩す人は少なく、医者は商売にならずに青ざめる、という意味です。これはおそらく、柿の健康効果も手伝って生まれたことわざだと思われます。皆様も柿を食べて健康な毎日を過ごしましょう!