こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分のいわむら歯科院長の岩村です。
皆様は「オーラルフレイル(oral frailty)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?オーラルフレイルは、高齢期における口腔機能(噛む、飲み込む、話すなど)が少しずつ低下していく状態のことを指す言葉で、日本で提唱された比較的新しい概念です。オーラルフレイルは、全身の健康や生活の質(QOL)にも大きく関わっており、放置すると要介護状態につながる可能性があります。ただし、単なる加齢現象ではなく、早期の対処により進行を予防・改善できるのが特徴です。
🧩 オーラルフレイルの主な兆候
以下のような症状が見られたら、オーラルフレイルの可能性があります:
兆候 | 説明 |
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食べこぼしが増える | 唇や舌の筋力低下により食べ物をうまく扱えない |
滑舌が悪くなる | 発声に関与する筋肉の衰え |
むせやすくなる | 嚥下機能(飲み込む力)の低下 |
噛む力が弱くなる | 歯の本数の減少、咬合力の低下 |
口の乾き | 唾液の分泌量が減ることによるドライマウス |
⚠️ なぜオーラルフレイルが問題なの?
口の機能が低下すると…
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栄養が偏る(硬い物が食べられなくなる)
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会話が減る(コミュニケーションが減少し、孤立感が強まる)
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誤嚥性肺炎のリスクが上がる
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認知機能や身体機能の低下につながる
つまり、口の健康は全身の健康と密接に関わっているのです。
🛡️ オーラルフレイル予防の具体策
① 口腔体操(お口の筋トレ)
🔤 パタカラ体操(発音トレーニング)
「パ・タ・カ・ラ」と大きな声で繰り返し発音する体操で、唇・舌・頬・喉の筋肉をまんべんなく鍛えることができます。
音 | 鍛える部位 | 例 |
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パ | 唇 | パンダ、パパイヤ |
タ | 舌の先 | たこ、たんす |
カ | 舌の奥 | カメ、カラス |
ラ | 舌全体と喉 | ラーメン、ラッパ |
🕒 やり方:1日3回、1セット10回程度を目安に。
👅 舌の体操
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舌を前後左右に大きく動かす
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舌で頬の内側を押すように動かす
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舌先で上あごをなぞるように動かす
✅ 唾液の分泌が促進され、ドライマウス予防にもなります。
② 咀嚼力(噛む力)を維持・強化する
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よく噛んで食べる(1口30回が目安)
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食材を大きめに切る、繊維質の多い野菜を取り入れる(ごぼう、れんこん、きのこ類など)
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ガムやするめなど、噛む機会を意識的に増やす
🔍 咀嚼は唾液の分泌を促進し、消化や虫歯予防、脳への刺激にもつながります。
③ 唾液腺マッサージ
【耳下腺・顎下腺・舌下腺】のマッサージで唾液の出やすい口に
💆♀️ やり方(1日2〜3回)
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耳下腺:耳たぶの前あたりを円を描くように5回マッサージ
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顎下腺:あごの骨の内側を下から上へ押すようにマッサージ
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舌下腺:あごの下、真ん中を軽く押す
効果:口腔内がうるおい、食事や会話がしやすくなります。
④ 口の清潔保持(オーラルケア)
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歯磨きは朝・夜しっかりと、舌苔(舌の汚れ)も清掃しましょう
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入れ歯も毎日洗浄
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歯間ブラシやフロスを活用
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定期的に歯科受診(最低でも年2回)でチェックを
✅ 虫歯・歯周病・口臭の予防と、早期発見につながります。
⑤ 食事と栄養の見直し
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硬いものや多様な食材を取り入れる(咀嚼力・唾液促進)
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タンパク質(筋肉維持に必須)を積極的にとる
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ビタミンDやカルシウム(骨・歯の健康維持)
🍽️ 例:納豆、豆腐、魚、鶏肉、海藻類、乳製品など
⑥ コミュニケーションと社会参加
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会話をすることで口の運動になり、孤立感も防げる
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趣味活動、サークル、地域のフレイル予防教室などに参加
💬 話す、笑う、歌うといった行動も口腔機能の維持につながります
🧠 ⑦ 運動・全身の健康維持
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ウォーキングなど軽い運動は、全身の筋力維持と食欲促進に効果的
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転倒予防や認知症予防にもつながります
もしも、ご自身がオーラルフレイルかもと思われる方は、すぐに歯科医院に相談してみて下さいね!