こんにちわ、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分、いわむら歯科の岩村です。
皆様は「歯科心身症」というものを聞いたことはあるでしょうか?
口臭治療をしていると、時々耳にする言葉なのですが、今回は「歯科心身症」について解説していきます。
■ 歯科心身症とは?
歯科心身症は、心理的・精神的なストレスや問題が原因となって、口腔や顎(あご)などに身体的な症状が現れる状態のことです。
医学的には「心身症」の一種であり、身体の病気や痛みの原因が明確でない、または症状の程度が医学的に説明できないときに、精神的要因が関係していると考えられます。
■ 主な症状
歯科心身症には、以下のような症状が見られます:
✅ 口腔内の痛み・不快感(器質的異常がない場合が多い)
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舌がヒリヒリする(舌痛症)
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口の中が乾いているように感じる(ドライマウス/口腔乾燥症)
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歯が痛い、しみるが、検査では異常が見つからない(非歯原性歯痛)
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入れ歯や詰め物が合わない感じが続く(異物感、違和感)
✅ 顎・咀嚼筋の不調
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顎が痛い、開けにくい(顎関節症)
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食いしばりや歯ぎしり(ブラキシズム)
✅ その他の関連症状
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味覚異常
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口臭が気になる(自臭症)
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のどの異物感、圧迫感(咽喉頭異常感症)
■ 原因
多くの場合、以下のようなストレス要因や性格傾向が関与しています:
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精神的ストレス(仕事、家庭、人間関係など)
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不安、うつ傾向
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完璧主義、自己評価の低さ
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トラウマや過去の医療体験
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睡眠障害
身体に症状が現れることで、さらに不安やストレスが増し、悪循環に陥ることも多いです。
■ 診断と治療
🔍 診断
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歯科的・医学的検査で明確な異常が見つからない場合に「歯科心身症」が疑われます。
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医師・歯科医師が、心理的要因との関係性を評価する必要があります。
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心療内科、精神科との連携が重要です。
💊 治療法(多角的アプローチが基本)
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心理療法(カウンセリング、認知行動療法など)
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薬物療法
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抗不安薬、抗うつ薬(少量から投与)
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睡眠導入剤(短期的に使用することも)
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行動療法・生活指導
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ストレス対処法、リラクゼーション法
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睡眠や生活リズムの改善
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歯科的アプローチ
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マウスピース(ナイトガード)
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顎関節のリハビリ
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■ 歯科心身症の治療において大切なこと
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「気のせい」ではないと理解することが重要。
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心と体の両方にアプローチする必要があります。
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患者本人の理解・協力と、医療者との信頼関係が治療のカギ。
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長期的に向き合う姿勢が必要な場合もあります。
■ 最後に
歯科心身症は、決してまれな病気ではなく、誰にでも起こり得るものです。ストレスの多い現代社会では増加傾向にあるとも言われています。
症状がある場合は、無理に我慢せず、専門の歯科医院や心療内科に相談することが大切です。
なお、当院では火曜日午後に臨床心理士の先生が非常勤として勤務しておりますので、お任せ下さい!