〒467-0803 愛知県名古屋市瑞穂区中山町5-6

オーラルフレイルって何ですか?|いわむら歯科|瑞穂区中山町の歯医者

トピックス TOPICS

オーラルフレイルって何ですか?

こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分のいわむら歯科院長の岩村です。

今回は「オーラルフレイル(oral frailty)」について説明していこうかと思います。


(オーラルフレイルとは)
オーラルフレイルは、「口の機能のささいな衰え」から始まり、放置すると全身のフレイル(虚弱)や介護リスクに発展するという考え方です。

「フレイル(frailty)」=「健康と要介護の中間状態」

主な症状や兆候

項目 内容
噛む力の低下 硬いものが食べづらくなる
飲み込む力の低下(嚥下障害) むせやすくなる、水やお茶で咳き込む
口の乾燥 唾液の分泌量が減る
会話の減少 滑舌が悪くなる、話しづらくなる
歯の本数が減る 義歯やブリッジでも補えない場合も

🧠 なぜ重要?

口の機能が衰えると、以下のような影響が出ることがあります:

  • 栄養不良(噛めない→食べない→栄養不足)

  • 社会的孤立(話しづらい→会話が減る)

  • 認知症リスクの増加

  • 誤嚥性肺炎のリスク増加

つまり、オーラルフレイルは全身の健康と深くつながっているんです。


🧓 高齢者だけの問題?

実は40~50代でも、生活習慣によってはオーラルフレイルが始まっていることがあります。早めに意識することで、将来的な介護リスクを下げることができます。

 


✅ オーラルフレイルチェックリスト(簡易版)

「オーラルフレイルチェックリスト」は、自分や家族の口の健康状態を簡単に自己チェックできるツールです。主に高齢者向けに作られていますが、40代以上なら誰でも活用できます。
以下の7つの質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。

質問項目 はい / いいえ
① 硬いものが食べにくくなった  
② 食事中にむせることがある  
③ 口が乾燥しやすい  
④ 半年前と比べて食事の量が減った  
⑤ 外出の頻度が減った  
⑥ 最近滑舌が悪くなったと感じる  
⑦ お茶や汁物でむせることがある  

🔍 判定の目安

  • 「はい」が0~1個:問題なし、現状を維持しましょう!

  • 「はい」が2~3個:注意が必要、オーラルフレイルの兆候あり

  • 「はい」が4個以上:オーラルフレイルの可能性が高い → 歯科医や医師に相談を!

※このチェックリストは、東京都健康長寿医療センター研究所などの研究に基づいています。


(オーラルフレイル評価)

オーラルフレイル評価」は、口の機能がどの程度衰えているかを客観的に評価する方法です。これは医療・介護・歯科の現場で用いられる正式な評価法で、見逃されやすい口腔機能の低下を早期に発見することが目的です。


🩺 オーラルフレイル評価の主な構成

「オーラルフレイル評価」は、大きく以下の 3ステップ に分けられます。


✅ ステップ1:主観的質問(スクリーニング)

以下のような自己申告による質問を通して、自覚症状の有無を把握します。

質問 内容
噛みにくい食べ物がありますか? 例:たくあん、せんべいなど
食事中によくむせますか? お茶や汁物でむせることなど
口が乾きやすいと感じますか? 唾液量の減少や口のねばつき感
滑舌が悪くなったと感じますか? 会話がしづらくなった、聞き返されることが増えた等

✅ ステップ2:客観的な機能テスト(7つの口腔機能の評価)

これは歯科医院などで専門的に実施される評価です。

項目 評価内容 評価方法の例
1. 口腔衛生 口腔内の清潔さ 舌苔の付着量など
2. 口腔乾燥 唾液の分泌状態 唾液分泌量測定器など
3. 咬合力(噛む力) 噛みしめる力 圧力センサー付きフィルムなど
4. 舌口唇運動機能 舌・唇の動きの滑らかさ 「パ・タ・カ」テスト(発音回数を1秒で数える)
5. 咀嚼機能 噛み砕く能力 グミ・ガムを使った色変化テスト
6. 嚥下機能(飲み込み) 飲み込みの安全性 水飲みテストや頸部触診
7. 舌圧(舌の力) 舌の押す力 舌圧測定器を使用(40kPa以上が正常)

✅ ステップ3:総合判定

各項目の評価結果をもとに、

  • 正常(非フレイル)

  • プレ・オーラルフレイル

  • オーラルフレイル(要介入)

という形で判定され、必要に応じて治療や訓練、生活習慣の改善が行われます。


(オーラルフレイルの予防・改善方法)

🔄 オーラルフレイルの予防・改善の基本方針

  1. 口の機能を鍛える(動かす・使う)

  2. 口の中を清潔に保つ

  3. よく噛み、よく食べ、よく話す

  4. 歯科の専門家と連携する


🏋️‍♀️ 具体的なトレーニング・ケア方法

✅ 1. 「パ・タ・カ・ラ体操」(滑舌・嚥下・咀嚼力UP)

口の動きや舌の運動機能を高める有名な体操です。

鍛えられる機能
唇の動き(口をしっかり閉じる力)
舌の先の動き(発音・飲み込み)
舌の奥の動き(嚥下機能)
舌全体の柔軟性(発声・会話)

🕐 やり方:

  1. 「パパパパ…」「タタタタ…」など1音ずつ5~10回繰り返す

  2. 慣れてきたら「パ・タ・カ・ラ」を1セットで10回程度


✅ 2. 舌回し体操(舌の柔軟性・唾液分泌UP)

🕐 やり方:

  • 口を閉じて、舌で歯ぐきの外側をなぞるようにぐるぐる回す(右回り→左回り)

  • 各方向10回ずつ

  • 舌が疲れるくらいがちょうどいい!


✅ 3. 唾液腺マッサージ(口の乾燥・唾液不足対策)

唾液は消化を助けるだけでなく、口の自浄作用・感染予防にも重要です。

🕐 やり方:

  • 耳下腺:耳たぶの下を前向きに優しく押す

  • 顎下腺:あごの下の柔らかい部分を指で軽く揉む

  • 舌下腺:あごの先、舌の裏側に向けて軽く押す

1日2~3回、1回3分程度が目安。


✅ 4. よく噛んで食べる(咀嚼力・唾液分泌・満腹感)

🦷 ポイント:

  • 「1口30回噛む」を目安に

  • 左右両側で噛む

  • 柔らかすぎる食事ばかりにしない(多少の歯ごたえを残す)


✅ 5. 発声・会話の習慣化(社会参加・口の運動)

声を出すことも立派な口の運動です!

💬 やり方:

  • 毎日短い読書(声に出して)や歌を歌う

  • 家族や友人と積極的に会話する

  • 「今日の出来事」を話す・メモして読むなども◎


✅ 6. 口腔ケア(歯・舌・入れ歯の清掃)

🪥 ポイント:

  • 歯磨きは1日2回以上

  • 舌苔(舌の白い汚れ)も専用ブラシで清掃

  • 義歯は外して清掃&保管もきちんと


🦷 歯科医院との連携も大切!

  • 定期検診(3~6ヶ月ごと)

  • 口腔機能のスクリーニング

  • 必要に応じてリハビリ(摂食嚥下訓練など)

特に、滑舌が悪くなった・むせやすくなった・食欲が減った…という人は早めに相談しましょう。