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胃食道逆流症と口臭って関係ありますか?|いわむら歯科|瑞穂区中山町の歯医者

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胃食道逆流症と口臭って関係ありますか?

こんにちは、名古屋市瑞穂区にありますいわむら歯科院長の岩村です。

胃食道逆流症(GERD)と口臭は深い関係があり、胃酸が食道を逆流することが口臭の原因になることがあります。胃食道逆流症は、胃の内容物が食道に逆流し、さまざまな症状を引き起こす病気です。これにより、口臭が発生することがあります。今回は、GERDと口臭の関連について詳しく説明します。

「胃食道逆流症(GERD)とは?」

胃食道逆流症(GERD、Gastroesophageal Reflux Disease)は、胃の内容物が食道に逆流することで発生する疾患です。通常、胃酸や消化酵素は胃内にとどまり、食道に逆流することはありません。しかし、いくつかの原因により、胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激したり、炎症を引き起こしたりします。これがGERDの特徴です。

「胃食道逆流症(GERD)の主な原因」

  1. 下部食道括約筋(LES)の機能不全: 下部食道括約筋(LES)は、食道と胃の接続部にある筋肉で、通常、胃酸や食物が食道に逆流しないように閉じています。GERDでは、この筋肉が十分に閉じないか、圧力が低いため、胃酸が逆流しやすくなります。

  2. 腹圧の上昇: 妊娠、肥満、過剰な食事や飲酒、喫煙などが原因で腹部の圧力が高まり、それが食道の逆流を助長することがあります。

  3. 食生活や生活習慣: 脂っこい食事や辛い食べ物、カフェイン、チョコレート、アルコールなどがGERDの症状を悪化させることがあります。また、食後すぐに横になることも逆流を引き起こしやすいです。

  4. 食道の異常: 食道の構造的異常(例えば、食道裂孔ヘルニア)や、食道の運動機能の低下もGERDを引き起こすことがあります。


「GERDが口臭を引き起こすメカニズム」

  1. 胃酸と消化物の逆流

    • GERDでは、胃酸や消化中の食物が食道に逆流し、その一部が口腔内に達することがあります。胃酸が食道を通ると、口腔内に酸性の物質が残り、これが口臭を引き起こすことがあります。酸性の胃液は、口腔内の細菌と反応し、悪臭を放つ化学物質を生成することがあるため、口臭が強くなるのです。
  2. 胃酸による食道の刺激と唾液の減少

    • GERDが続くと、胃酸が食道の粘膜を繰り返し刺激し、炎症を引き起こします。この炎症が、喉や口腔にまで影響を及ぼすことがあります。炎症が喉に広がると、口腔内が乾燥することが多く、唾液の分泌が減少します。唾液は口腔内の細菌を洗い流し、口臭の原因物質を抑える役割を果たしていますが、唾液が減少すると、細菌が増殖しやすくなり、結果的に口臭が発生しやすくなります。
  3. 舌苔の増加

    • GERDが引き起こす胃酸の逆流や口腔内の乾燥は、舌に舌苔(舌に付着する細菌や老廃物)を増加させる原因となります。舌苔がたまると、その中の細菌が分解を進めることで悪臭を発生させることがあり、これが口臭を強化する原因となります。
  4. 逆流した食物の発酵

    • GERDでは、胃の内容物が食道に逆流するため、消化されていない食物や残りかすが口腔内に到達することがあります。これらの未消化の食物は、口腔内で細菌と反応し、発酵して悪臭を放つことがあります。この現象が、口臭の原因になることもあります。
  5. 胃酸による口腔内のpH変化

    • 胃酸が口腔内に逆流すると、口腔内のpH(酸性度)が低下します。この低いpHの状態は、口腔内の細菌にとっては良好な環境を作り出し、特に悪臭を放つ種類の細菌(例えば、硫化水素を生成する細菌)が繁殖しやすくなります。これにより、口臭が悪化することがあります。


「GERDによる口臭の予防と対策」

1. GERDの症状をコントロールする

生活習慣の改善

GERDによる口臭の原因は胃酸の逆流にあります。そのため、胃酸の逆流を最小限に抑える生活習慣を心がけることが重要です。

  • 食後すぐに横にならない: 食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすくなります。食後少なくとも2〜3時間は横にならないようにしましょう。
  • 食事の量を少なく頻繁に摂る: 大きな食事を一度に食べると胃が圧迫され、胃酸が逆流しやすくなります。少量で頻繁に食事を摂ることを心がけましょう。
  • 脂っこい食事や刺激物を避ける: 脂っこい食事や辛い食べ物、酸味の強い食べ物(例:柑橘類、トマト)などは胃酸の分泌を刺激し、GERDを悪化させる可能性があります。
  • カフェインとアルコールを控える: カフェインやアルコールは胃酸を増加させ、逆流を助長することがあるため、控えることをおすすめします。
  • 喫煙をやめる: 喫煙は下部食道括約筋(LES)の機能を低下させ、胃酸の逆流を引き起こしやすくします。禁煙をすることが、GERDの予防に繋がります。

体重の管理

肥満はGERDを悪化させる一因です。余分な体重が腹部に圧力をかけ、胃酸の逆流を助長することがあるため、健康的な体重を維持することが重要です。

枕を高くして寝る

睡眠時にGERDの症状が悪化することがあります。寝るときに枕を高くして寝ることで、胃酸の逆流を軽減することができます。頭部を15〜30cm程度高くするのが効果的です。

2. GERDの治療を受ける

GERDを効果的に管理するために、医師と相談して適切な治療を受けることが重要です。治療法には以下のようなものがあります。

薬物療法

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI): 胃酸の分泌を抑える薬です。GERDの治療で最もよく使われます。胃酸が逆流するのを防ぐため、症状を軽減します。
  • H2受容体拮抗薬: 胃酸の分泌を抑える薬で、PPIほど強力ではありませんが、軽度のGERDには効果的です。
  • 制酸薬: 胃酸を中和し、逆流した酸の刺激を軽減します。短期的な症状緩和に役立ちます。

外科的治療

薬物療法や生活習慣の改善が効果を示さない場合、外科的治療を検討することがあります。腹腔鏡下逆流防止手術(Nissen fundoplication)などの手術が行われることがあります。この手術は食道の下部にある括約筋を強化し、胃酸が食道に逆流しにくくする効果があります。

3. 口腔ケア

GERDによる口臭を防ぐために、口腔ケアが非常に重要です。胃酸が口腔に逆流した場合、その酸性の物質や細菌が口臭の原因となるため、以下の方法で口腔内の健康を守りましょう。

口腔内の清潔を保つ

  • 歯磨きと舌磨き: 食後は必ず歯を磨き、舌の表面をやさしくブラシで磨くことが大切です。舌苔(舌の表面にたまる細菌や老廃物)を取り除くことで、口臭の原因を減少させることができます。
  • フロスや歯間ブラシの使用: 食べ物の残りかすやプラーク(歯垢)を取り除くために、歯間ブラシやフロスを使って歯の隙間を清潔に保つことが口臭対策に効果的です。
  • 口腔洗浄剤の使用: 無糖の口腔洗浄剤やマウスウォッシュを使うことで、口腔内を清潔に保ち、口臭を予防することができます。アルコールフリーの製品を選ぶと、口腔内の乾燥を避けやすくなります。

水分摂取と唾液の分泌促進

  • 水分をこまめに摂取する: 口腔内が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなり口臭を引き起こすため、水分をこまめに摂ることが重要です。特に、食後や寝る前に水を飲むことが効果的です。
  • ガムやキャンディを使う: 無糖のガムやキャンディをかむことで唾液の分泌が促され、口腔内の清潔が保たれます。

定期的な歯科チェック

定期的に歯科医を訪れて口腔内の健康をチェックしてもらうことも重要です。歯周病や虫歯が口臭の原因になることがあるため、早期に発見し治療することが予防になります。

4. その他の対策

  • 酸性食品の摂取を減らす: 酸性の高い食べ物(例:柑橘類、トマト製品、炭酸飲料)や辛い食べ物は胃酸の分泌を刺激するため、控えることをおすすめします。
  • ストレス管理: ストレスはGERDを悪化させる可能性があります。リラックスできる時間を持ち、ストレスを軽減する方法を見つけることも有効です。

「まとめ」

GERDは胃酸や消化物が食道に逆流する疾患で、その影響が口腔内にも及び、口臭を引き起こす原因になります。胃酸が口腔に達することで、酸性の物質が細菌と反応し、口臭が発生します。また、胃酸の逆流や口腔内の乾燥が細菌の繁殖を促し、口臭を悪化させることもあります。GERDの治療や生活習慣の改善が、口臭を軽減するための重要な対策となります。