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口臭治療にエゴグラム?|いわむら歯科|瑞穂区中山町の歯医者

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口臭治療にエゴグラム?

こんにちは、名古屋市瑞穂区にありますいわむら歯科院長の岩村です。
今回は以前ブログにも少し記載したエゴグラムについて詳しく説明していきます。

口臭に悩む患者さんの理解や不安のもちやすさについては、当院ではカウンセリングや医療現場で広く用いられているエゴグラムを活用し把握するようにしています。このエゴグラムは、心理学的な自己分析の一つで、個人の性格や行動の傾向を理解するためのツールです。エゴグラムは、アメリカの心理学者エリック・バーン(Eric Berne)が提唱した「交流分析(Transactional Analysis)」の理論に基づいています。この理論では、個人の性格や行動が3つの主要な自我状態(親、成人、子ども)によって構成されているとされ、それぞれの状態がどのように作用しているかを理解することで、人間関係や自己理解が深まるとされています。

エゴグラムは、人の心の状態と行動パターンを下記の5つに分類しており、患者さんに回答して頂くことで、各要素をどの程度強く持って行動しているのか把握できます。
①CP(critical parent):厳格な親の心
理想の追求、道徳的で倫理的であり、善悪をわきまえます。一方、責任追及、支配的、威圧的、厳しすぎる一面をもちます。
②NP(nurturing parent):養育的な親の心
温かさ、擁護、保護的で他人への思いやり、愛情をもちます。一方、甘やかし、過保護、過干渉、世話のしすぎという面もあります。
③A(adult):理性的な大人の心
情報の収集、分析、客観的理解、現実的判断、計算、工夫をします。一方で冷たい、人情味にかける、人の気持ちより事実を優先させる一面をもちます。
④FC(free child):自由な子どもの心
自由奔放、明るい、創造的、直観的、好奇心、天真爛漫です。一方、自己中心的、本能的、衝動的、わがままな一面をもちます。
⑤AC(adapted child):人目を気にして順応している子どもの心
素直、協力的、適応性、他人を信頼する一方、自信喪失、自責の念、自主性なく依存的、黙って自分の殻に閉じこもる、ひねくれる、反抗するという一面をもちます。

日本で用いられているものでは、「東大式エゴグラム(TEG)」が有名ですが、当院では「自己成長エゴグラム(SGE)」を用いております。
「自己成長エゴグラム」とは、自己理解と自己改善を目的として、エゴグラムを活用する一つのアプローチです。通常のエゴグラムが個人の性格や行動パターンを分析するツールであるのに対して、自己成長エゴグラムは、自分の性格や行動を見つめ直し、より健全でバランスの取れた自我状態へと成長するための指針として使用されます。また著作権が設定されていないので、無料でコピーして使用することが可能です。

一般的にエゴグラムで認められる代表的なタイプは
❶へ型(円満パターン)
NPが突出して高く現れています。自分も他人も肯定的に評価でき、特に日本のように和を重んじる社会においては一般的に対人関係は円満であることが多いです。
❷N型(献身パターン)
NPとACが高く、他が低いパターンです。FCが低いところを見ると他人に献身的に尽くし、自分は楽しめなくても人によく見られたいと思う傾向にあります。反面、自己否定・自己卑下に陥りやすくもあります。
❸逆N型(自己主張パターン)
CPとFCが高く現れています。自己を通し頑固である傾向があります。自己主張が強いといえるでしょう。
❹V型(葛藤パターン)
CPとACが高く、AまたはFCが低く現れているパターンです。こうすべきという気持ちは強いが、周囲の状況を考えると言いたいことが言えないために葛藤が起こるといったことが生じます。
❺W型(苦悩パターン)
V型のAが高くなったパターンです。大人の心で理性的にものごとを考えることができますが、V型にみられる葛藤がより深くなりがちです。
❻M型(明朗パターン)
NPとFCが高く、他が低くなっています。他人への思いやりがあり、人とコミュニケーションを取るのが得意といえるでしょう。FCが高く、場のムードメーカーになって朗らかな関係を築くことが少なくありません。
❼右下がり型(頑固パターン)
CPが高く、NP、A、FC、ACと徐々に右下がりになっています。理想が高く頑固で、人のことをあまり気にしない傾向があります。ただ、良い方向にはたらけば強いリーダーシップを発揮することができます。

当院では、問診時に患者さんにエゴグラム診査用のアンケート用紙に記入をしてもらい、アンケートの点数から導き出されるエゴグラムを患者さんと読み解きながら、患者さんの行動や考え方のくせ、抱えやすい不安について臨床心理士が説明していきます。
患者さん自ら自分の特性に気づいてもらうと同時に、5つのうち低い合計点数になった項目の、「いいえ」と答えた項目を「はい」と答えられるように意識を変えていく(=自己成長)、そのきっかけとなるように設問が工夫されています。問診の直前に記入してもらったエゴグラムを医療者と患者さんとで読み解き、そこにいったん気づきがあると、医療者側から働きかけなくても患者さん自らが意識変革と行動変容を起こすことがあります。その点も期待して利用しています。