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子どもが歯をぶつけたらどうしますか?|いわむら歯科|瑞穂区中山町の歯医者

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子どもが歯をぶつけたらどうしますか?

こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分のいわむら歯科院長の岩村です。

子どもが歯をぶつけてしまったら、どうしようとなってしまう方って結構いらっしゃると思います。
今回は簡単ではありますが、そのあたりを説明していきたいと思います。

まず、歯をぶつけてしまうのは、1~2歳の乳幼児期の乳歯と、7~8歳の学童期の幼弱永久歯に多発する傾向にあります。1~2歳は運動協調性の発達前期にあたり、原因は転倒が最も多く、次いで衝突、転落、打撲と続き、多くが日常生活の中で発生します。乳歯の外傷は女の子に比べて、男の子の方が2〜3倍多いというデータが出ています。中高年となると、交通事故や暴行、スポーツなどが原因となってきて、日常的な生活の中で発生するものはそれほど多くなくなります。特にスポーツでは転倒や衝突,接触などの機会が常にあり、歯をぶつけるリスクになりますので、歯への衝撃力を分散し、重篤な障害のリスクを軽減するマウスガードなどのプロテクターの使用を勧める事が望ましいといわれています。

1. 外傷の種類と症状

◆ 歯の脱臼(歯が動いたり抜けたりする)

  • 亜脱臼(ゆるみ):歯が少し動揺している。痛みがあることも。

  • 挺出(ていしゅつ):歯が少し抜けて長く見える。

  • 脱臼(完全に抜ける):歯が完全に抜け落ちている。

  • 歯の転位(位置がずれる):内側や外側、前後にずれる。

◆ 歯の破折(歯が折れる)

  • エナメル質破折:表面だけの破損で、痛みは少ない。

  • エナメル質・象牙質破折:黄色みがかった部分(象牙質)まで達して痛みがある。

  • 露髄(ろずい)破折:神経が露出し、強い痛みを伴う。

◆ 歯根破折

  • 歯の根の部分が折れている状態。外からは見えにくく、X線で診断。

◆ 歯槽骨骨折

  • 歯を支える骨(歯槽骨)が折れていることがあり、歯が複数本動く場合はこれを疑う。

◆ 軟組織の損傷

  • 唇、舌、歯ぐきなどの出血や裂傷。


🔹 2. 乳歯 vs 永久歯の違い

◆ 乳歯の外傷

  • 成長途中のため、周囲の組織に与える影響が大きい。

  • 過剰な処置は避け、将来の永久歯への影響を考慮して慎重に対応。

◆ 永久歯の外傷

  • 残りの人生に関わるため、早期・適切な処置が重要。

  • 抜けた歯(完全脱臼)は迅速に戻す必要あり。


🔹 3. 応急処置と受診のタイミング

◆ 歯が抜けたとき(特に永久歯)

  • 抜けた歯は乾燥させないことが最重要

  • できれば牛乳生理食塩水に浸して持参。

  • 歯の根は触らず、歯冠(白い部分)を持つ。

  • 30分以内に歯科受診するのが理想。

◆ 出血がある場合

  • 清潔なガーゼやティッシュで圧迫止血。

  • 歯肉や唇の裂傷がある場合は縫合が必要なことも。


🔹 4. 治療内容の一例

外傷の種類 主な治療方法
軽度の打撲(変色や軽い動揺) 経過観察、定期検診
歯の亜脱臼・転位 歯の位置を戻して固定(スプリント)
歯の破折(軽度) 研磨、レジン充填
歯の破折(露髄あり) 神経の処置(生活歯髄療法や根管治療)
歯の完全脱臼 元に戻して固定、抗生物質の投与など
歯根破折 抜歯または固定と経過観察

🔹 5. 予後と経過観察

  • 外傷後は数ヶ月〜数年にわたり経過観察が必要。

  • 歯の色が変わったり(失活)、根が吸収されるなどの後遺症が起きることも。

  • レントゲンで根や永久歯胚の状態を確認。


🔹 6. 予防法

  • スポーツ時のマウスガードの装着。

  • 家の中での転倒防止(カーペット、角の保護など)。

  • 口腔習癖(指しゃぶり、咬唇癖など)の改善。

  • 定期的な歯科検診で咬合や歯の位置をチェック。