こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分のいわむら歯科院長の岩村です。
今回は「口腔内プロバイオティクス」について記載していきます。
まず、皆様は「プロバイオティクス」という単語を聞いたことはありますでしょうか?
プロバイオティクスとは、腸内フローラ(腸内細菌叢)を健康的に保つために摂取する「有益な微生物」のことです。プロバイオティクスは、共生を意味するプロバイオシス(probiosis; pro 共に、~のために、biosis 生きる)が語源です。これらは主に細菌であり、腸内で有害な細菌の抑制や消化の助けになるとされています。プロバイオティクスは、食品やサプリメントとして摂取することが多いです。
口腔内のプロバイオティクスについては、腸内のプロバイオティクスと似たような効果をもたらすものの、主に口腔内の健康を守ることに特化したものです。口腔内におけるプロバイオティクスは、口腔フローラ(口腔内の微生物環境)を改善し、口腔内の病気の予防や健康維持に役立ちます。
1. 口腔内のプロバイオティクスとは?
口腔内にも腸内と同様に多くの細菌が存在しており、その中には有害な細菌(例えば、歯周病や虫歯の原因となる細菌)もいます。口腔内のプロバイオティクスは、これらの有害な細菌の増殖を抑え、有益な細菌を増やすことを目的としています。これにより、口腔内の健康を保つことができます。
2. 口腔内プロバイオティクスの主な効果
口腔内プロバイオティクスの摂取には以下のような効果があります:
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歯周病予防: 口腔内のプロバイオティクスは、歯周病の原因となる病原菌の抑制に寄与します。特に、歯茎に炎症を引き起こす細菌の活動を抑える役割があります。
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虫歯予防: 口腔内の有害な細菌(例えば、ミュータンス菌)が酸を生成して歯を溶かすのを防ぐため、虫歯のリスクを減らす効果が期待されます。
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口臭の改善: 口臭の原因となる細菌(揮発性硫黄化合物を発生させる細菌など)の抑制に役立ちます。これにより、口臭が改善されることがあります。
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免疫機能の強化: 口腔内での免疫応答を調整するため、感染症の予防に役立つことがあります。
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炎症の軽減: 口腔内の炎症を軽減し、例えば口内炎などの口腔の不快症状を和らげることがあります。
3. 口腔内のプロバイオティクスを含む食品
口腔内のプロバイオティクスを摂取するためには、いくつかの食品やサプリメントを取り入れることが有効です。以下は、口腔内の健康に役立つプロバイオティクスを含む食品です:
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発酵乳製品(ヨーグルト、ケフィア): 乳酸菌を含むこれらの製品は、口腔内でも効果を発揮します。ヨーグルトやケフィアに含まれるプロバイオティクスは、腸内と同様に口腔内で有害菌の抑制に寄与します。
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プロバイオティクスガム: 市販されているプロバイオティクスを含むガムがあります。これらは、噛むことで口腔内に善玉菌を供給し、虫歯や歯周病の予防に効果があります。
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プロバイオティクスのサプリメント: プロバイオティクスを直接摂取するサプリメントもあります。これらは、口腔内の健康をサポートするために特別に設計されたものもあります。
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発酵食品(納豆、キムチ): これらの発酵食品には、腸内と口腔内に良い影響を与える微生物が含まれており、健康な口腔環境を維持するのに役立ちます。
4. 口腔内プロバイオティクスに含まれる代表的な菌
口腔内のプロバイオティクスとして有名な菌には以下のものがあります:
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ラクトバチルス属(Lactobacillus): 乳酸菌の一種で、口腔内で有害な病原菌を抑制する働きがあります。特に、虫歯や歯周病の予防に役立ちます。
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ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium): 免疫システムをサポートし、炎症を抑制する働きがあるため、口腔内の健康を守ります。
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ストレプトコッカス属(Streptococcus): 一部のストレプトコッカス菌は、口腔内での健康を維持し、虫歯や歯周病を予防する効果があります。
5. 口腔内プロバイオティクスの使用方法
口腔内プロバイオティクスは、食品やサプリメントとして摂取する方法が一般的ですが、使用方法には以下の点を注意することが重要です:
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規則的に摂取する: 口腔内のプロバイオティクスが効果を発揮するためには、定期的に摂取することが大切です。
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サプリメントやガムの使用: プロバイオティクスを含むガムやサプリメントを使用する際には、パッケージの指示に従って適量を摂取しましょう。
6. 口腔内プロバイオティクスの注意点
口腔内プロバイオティクスは一般的に安全ですが、以下の点に注意する必要があります:
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過剰摂取を避ける: どんな健康補助食品でも過剰摂取は避けるべきです。特にサプリメントの場合、指定された量を守ることが大切です。
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持病がある場合は医師に相談: 免疫系に問題がある人や他の病歴がある人は、口腔内プロバイオティクスを使う前に医師に相談することが推奨されます。
また、プロバイオティクスと混同しやすい単語として「プレバイオティクス」「シンバイオティクス」というものがあります。
プレバイオティクス(prebiotics)とは、善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維のことです。プレバイオティクスはプロバイオティクスと違い、菌そのものを摂取するわけではありません。プレバイオティクスの「プレ(pre)」は「前もって(before)」という意味があります。善玉菌を増やすために必要なエサであるプレバイオティクスを前もってとることで、腸内環境が整うと期待されます。
「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を組み合わせたのが「シンバイオティクス(synbiotics)」です。シンバイオティクスの「シン(syn)」は「一緒に」という意味があります。善玉菌とエサを一緒に摂取することで、より腸内環境の改善にアプローチができると注目されています。
当院では口腔内プロバイオティクスの商品等の取り扱いはありません。もう少し、知識をつけたうえで当院で取り扱うかどうかまた判断していこうかと考えております。
また、「口腔内プレバイオティクス」、「口腔内シンバイオティクス」についての情報はまだまだ少ないので、そのあたりもまた機会があったらブログを記載したいなと思います。