こんにちは、名古屋市瑞穂区にありますいわむら歯科院長の岩村です。
今年最後のブログですが、公益社団法人日本歯科医師会が実施した全国の15歳〜79歳の男女10,000人を対象とした「歯科医療に関する一般生活者意識調査」の結果が興味深い内容だったので、紹介したいと思います。
歯や口の中のトラブルは、「集中力」「生活全般の質」「コミュニケーション・会話」「人付き合い」など日常生活でのパフォーマンス全般の低下に影響します。歯や口の中のトラブルは、プレゼンティーズムの要因となっています。プレゼンティーズムとはWHO(世界保健機関)によって提唱された健康問題に起因したパフォーマンスの損失を表す指標で、「欠勤にはいたっておらず勤怠管理上は表に出てこないが、健康問題が理由で生産性が低下している状態」を意味します。本調査では調査対象者に合わせ、「仕事」を“家事”や“学業”を含む形で広義に捉え、日常的にする仕事や家事、学校での勉強や他者とのコミュニケーションなど、自分が普段当たり前にできていること全般を“パフォーマンス”と総称。歯や口の中の問題が原因でそれらパフォーマンスが低下する状態を「プレゼンティーズム」と定義し、調査・分析を行ったそうです。
調査結果としては
・日本人の約4割が「この1年間に歯や口の中のトラブルで日常生活のパフォーマンスが落ちたと実感」(41.6%)。
・若い世代はパフォーマンス低下を感じる人が約半数(10代46.6%、20代45.9%、30代47.0%)と多い。
・パフォーマンス低下を感じる歯や口の中のトラブルTOP3、「歯の痛み」「歯に違和感を感じる」「口臭」。
・パフォーマンス低下を感じる期間、歯の痛みは「2〜3日程度」(26.2%)、歯の違和感は「2〜3日程度」(23.1%)と比較的短いが、口
臭は4人に1人が「1年以上」(25.5%)もパフォーマンス低下状態に
・パフォーマンス低下を感じる歯の痛み対策、約6割が「歯科医療機関を受診」(59.4%)している。
・口臭対策は「対策グッズを購入」(35.1%)や「やりすごした」(32.3%)。「歯科医療機関を受診」は12.4%。
・口の中の渇き・ドライマウス対策は半数以上の58.4%が「やりすごした」状態で、「歯科医療機関を受診」は12.2%
・「パフォーマンス低下の原因が口腔トラブルによるものだと周りに言いにくい」(39.7%)など、周りから指摘されるより自分自身で不
安に感じる傾向に。男性や若年層に多い傾向に。
という内容でした。
この内容をみて思うことは、
①お口の中のトラブルは思った以上にパフォーマンス低下を引き起こすと皆様が認識されているものなのだと思いました。私達歯科関係者は色々な患者さんと接するのでお口の中のトラブルが色々な影響を及ぼす事を深く理解しております。しかし、お口の中にトラブルが起こっているのに気にしない人がもう少しいる印象を持っておりました。しかも、パフォーマンス低下の項目を年代別に見ると、10代・20代は「コミュニケーション・会話」「人付き合い」、30代・40代は「集中力」「コミュニケーション・会話」、50代以降は「集中力」「生活全般の質」が影響を受けやすい分野のTOP2となっています。若年層は外向的なパフォーマンス低下、中年層は内向的なパフォーマンス低下も興味深い点だと思います。
②口臭について気にしてもなかなか相談するには至らない人が多くいるということです。口臭外来に来院される患者さんも5年以上悩んでいる方が多い傾向があります。確かに自分の口臭について相談しようと思っても、誰に相談すればいいのかわからないのが原因だと思います。家族に相談される方が一番多いですが、それでも嫌な顔をされるのではと思ってしまうので、他人にはなおさら相談できませんよね。当院では、火曜日午後に口臭専門外来を設立しており、臨床心理士と口臭専門医がタッグを組んで口臭治療に当たっております。安心して当院にご相談頂ければと思います。
③「パフォーマンス低下の原因が口腔トラブルによるものだと周りに言いにくい」方が思った以上に多くいるのだなという印象です。しかも、男性で若年層が多いというのも驚きです。現在名古屋市では❶市内に居住地を有する方❷4月1日時点で20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳の方を対象に歯周疾患健診を実施しております。健診のみなら無料で実施できますので、是非ともこの機会に歯科医院に来ていただき口腔トラブルについてご相談頂ければと思います。