こんにちは、名古屋市瑞穂区にあります、桜山駅から徒歩6分、いわむら歯科院長の岩村です。
前回に引き続き、歯と歯の間の掃除道具について説明していきます。
今回は「歯間ブラシ」についてです。
歯間ブラシ
歯間ブラシとは、細い針金にナイロン製などの毛を巻き付けた小さなブラシを指します。歯と歯の間に差し込んで、前後に動かすことで汚れを落とします。近年は先端がゴム製の歯間ブラシも販売されています。
歯間ブラシとデンタルフロスとの比較
項目 | 歯間ブラシ | デンタルフロス |
---|---|---|
使用部位 | 歯間の広めの部分 | 狭い歯間や接触部 |
対象者 | 歯間に隙間のある人向け | 歯間が詰まっている人向け |
清掃能力 | 歯周ポケットにも届く | 接触部の清掃に優れる |
歯周病が進行している方は歯間ブラシを使用した方が清掃効率が高いので、おすすめです。また、ブリッジや歯列矯正装置を装着している方はデンタルフロスを使用できない事があるので、歯間ブラシを使用してください。
逆に隣接面、特に接触点に虫歯ができやすい方はデンタルフロスがおすすめです。
いずれにしろ、歯間ブラシとフロスと併用することで、さらに効果的な口腔内ケアができます。
歯間ブラシの種類
<サイズ>
サイズは 4S(超極細)~LL(太め) まであります。健康な歯茎の場合、4SかSSSだけで対応できますが、歯周病が進行して歯間が広がってしまった場合、欠損歯、矯正装置やブリッジ装着部位などはSS以上を選択してください。歯の間の広さに合ったサイズを選ぶのが重要で、適切なサイズを使うと、歯や歯茎を傷つけたり、逆に汚れが取れなかったりします。当院では、歯間サイズチェッカーを常備しておりますので、すぐに適切なサイズを知ることができます。
<形状>
前歯などに使いやすい、ストレート型と奥歯やブリッジ、インプラントの周囲に便利なL字型(アングル型)があります。ストレート型でも先端部分を曲げることで、奥歯にも使用できますが、破損のリスクがありますので、注意が必要です。
<素材>
歯間ブラシは、素材によってもタイプ分けできます。それはナイロンの毛を使用したワイヤータイプと、ゴムを使用したラバータイプです。歯茎が健康で、効率良く汚れを落としたい場合は、ワイヤータイプがおすすめです。歯周病にかかっていて、歯茎が傷つきやすい状態にある場合は、ラバータイプが推奨されます。
使用方法
①鏡を見ながら、歯間ブラシを歯と歯の間にゆっくり差し込んで下さい。歯間ブラシの持ち方はペングリップがおすすめです。
②無理に押し込まず、痛みや抵抗がある場合はサイズが合っていない可能性があります。また、差し込む際には先端を若干歯冠方向に傾
けて、歯茎に沿わせて挿入すると、歯茎を傷つけにくくなります。
③歯間ブラシを前後に数回動かしてください。この際に歯の面に少し押し当つつ動かすと清掃効率が高くなります。場合によっては研磨
剤不使用の歯磨き粉や殺菌作用のあるうがい薬を併用することで、より清掃効率が上がる場合もあります。
④上下左右のすべての歯間に使ってください。特に奥歯は忘れがちな部分ですので、注意してください。
⑤使用後は細菌が繁殖しないように、ブラシを水で洗い、風通しの良い場所で乾かしてください。テッシュぺーパーなどで拭いてしまう
と、繊維がブラシの中に残ってしまう場合もありますので、注意してください。
※上手く使用できない時は当院のスタッフに相談してください。
使用頻度
歯ブラシによるブラッシングは、毎食後行うのが理想ですが、歯間ブラシはそれほど高頻度に使用する必要はありません。基本的には、1日に1回、夜眠る前の歯磨きの際に使用するようにしましょう。ただし、歯周病が進行していたり、プラークや食べかすが溜まりやすい部位がある場合は高頻度にしてもよいかと思います。歯間ブラシを使用するタイミングですが、歯ブラシによるブラッシングの前に使用した方が除去効率が高い事が臨床研究で明らかとなっていますので、当院では歯間ブラシ➡歯ブラシによるブラッシングをお薦めしています。
交換のタイミング
歯ブラシは1ヶ月に1回くらいの頻度で交換するのがおすすめですが、歯間ブラシの場合は1~2週間に一度の頻度での交換をお薦めしています。その理由としては、ヘッドの部分が比較的折れやすく、1ヶ月持たないことが多いのと、毛先が広がりやすくすぐに清掃効率が低下してしまうからです。状態の悪くなった歯間ブラシを無理やり使い続けると、歯茎に悪影響が及ぶため、絶対に避けるようにしてください。
歯間ブラシで起こりやすいトラブルについて
①歯間ブラシが嫌な臭いがする
使用した歯間ブラシが臭い場合は、ブラシ自体に細菌が繁殖しているか、清掃部位に汚れがたくさん付着していた可能性があります。前回使用した時に歯垢などが残存していたり、あるいは十分に乾燥されず、細菌繁殖の温床となっている可能性がありますので、新しいものに取り換えることはもちろん、今後は歯間ブラシが不衛生にならないよう、適切な方法でケアしてください。
また、特定の部位だけ使用すると臭いがする場合は歯周病や虫歯の可能性もありますので、ご相談頂ければと思います。
②歯肉から出血する
歯間ブラシを使用した際、歯肉から出血が出る場合は、まず歯間ブラシのサイズを確認しましょう。サイズが大きすぎて、歯肉を傷つけやすくなっているかもしれません。あるいは、汚れの除去方法が悪く、歯肉に不要な刺激が加わっている可能性も考えられます。そうした点も踏まえ、定期検診で歯間ブラシの正しい選び方や使い方を教えてもらうのも一つの解決方法といえます。
また、歯周病が進行している場合も歯間ブラシを使用すると出血しやすいので、そのような場合は歯科医院でご相談下さい。
③歯間が広がった
歯間ブラシを使っていく中で、歯と歯の隙間が広くなったように感じることも良くあります。これはプラークや歯石などがたまらなくなり、歯の隙間が広がったように見えることもあれば、実際に歯間距離が広がることもあり得ます。後者の場合は、歯間ブラシの使い方・選び方に問題がある可能性が高く、一度、歯科医院でご相談ください。